法学部照美教授の日常
法学部教授の照美です。アカデミックな生活とはこんなものという姿をお示しします。
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ロースクールはどうなるか(1)
法学部にいると、直接タッチしているとしていないとに関わらず、ロースクールの命運は気になります。

もともと司法制度改革で、法曹人口を増大させなければならない、しかし今の法曹養成制度では質を維持して量を拡大するのには無理があるよね、そこでアメリカみたいに大学院レベルの法律教育機関を作って、質の高い教育を行い、量の拡大と質の維持向上とを両立させようということで、ロースクールというのができました。

質の高い教育を行い優秀な人材を輩出すれば、当然、その人材は司法試験の合格も高くなるだろう、7,8割の合格率が達成できる、そのような教育を行うんだと言われていました。

ところが、現実はそんなに甘くはありませんでした。
質の高い教育とか、法曹の質とかの中身がそもそも漠然としていて、よく分かっていませんでした。今でもよく分かっていません。なんとなくアメリカの弁護士に対抗できるような能力と言われ、じゃ英語が必要だねと、ロースクールの入試に英語を入れたりTOFEL等のスコアを要求したりするところが現れました。ロースクールの課程で留学と単位互換を定めたところもかなりありました。
しかし、そもそもそのようなことをしていたら、司法試験に合格できるだけの学力も身につかないのではないかということを見落としていたのです。

それに、それまでの司法試験は暗記中心のペーパーテストで、受験テクニックだけで合格が左右されると思っている人が大学には沢山いましたが、そういう面があるにしても、やはり基本的な法律の知識や、それを問題解決に当てはめる能力が問われる試験ではあります。新司法試験になっても、過度の暗記を必要とする問題や、決まりきった答えを暗記して吐き出せば合格点になるような問題はやめようということになりましたが、短答式試験は本質的に暗記物ですし、理解力や問題発見能力、解決能力、そして表現力がモノを言うといっても、やはり知識とスキルは必要です。
しかも、科目数は基本となる憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法の7科目に加えて選択科目と、合計8科目に及び、そのそれぞれがまた歴史と伝統を背負った広大な知の地平をもっていますから、覚えることも大量だし、問題のバリエーションも大量にあり、解釈論を自分で展開するのに必要な材料は莫大です。それを理解するだけでなく、覚えて、新しい問題に応用しなければならないのですから、これは大変なことです。時間と労力を要します。

はっきり言って、留学なんかとんでもないし、ロースクールが司法試験合格後に必要となる実務能力や高度専門的な法律分野の知識を教えようとしても、そんなゆとりはないということになります。

かくして、ロースクールは明らかに失敗であり、制度的に欠陥があると言わざるを得ません。これは大学教員の側から見ても、火を見るより明らかです。
(続く)
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Author:profTerumi
大学では今何が起こっているか、日常の中に大学という教育研究機関の現在を浮かび上がらせます。
写真は、かつて、いたことのあるミシガン大学です。

ヒラノ教授というのは他に有名な方がいたので、変えました。

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